お地蔵さま
  宮の裏のお地蔵さま  (2)
              
            次へ 








 ある年のこと、平和な田舎の村を突然に大きな台風が襲来したそうな。それは恐ろしいほどの暴風雨が吹き荒れ、田畑は荒らされ黄金色に色づいていた稲穂や麦はなぎ倒され、野菜など作物の被害はたいへんなものだったそうな。

 被害にあった村人たちは、たいへんなショックを受け、しばらくは気の抜けたようになっていたそうだが、台風が過ぎ去って何日かが過ぎたある日のこと、誰言うとなく、
「いつまでもくよくよしていては村中のものが死んじまうぞ。」と立ち上がり、助け合い、励ましあって荒れはてた田畑の整理に取りかかったそうな。その時、与一が、
「おらたち台風の被害にあってすっかり忘れていたが、お地蔵さまは大丈夫だらーか。」と地蔵のことを思い出し大声で叫んだそうな。
地蔵さま
 そこで、みんなは畑仕事の手を休め、地蔵が祀られていた宮の裏あたりに急ぎ走りよってみたが、辻もなければ、道もなくなっていたそうな。また、地蔵の姿はひとつもなく、地蔵が立っていたと思われる辺りの草むらは土砂地となっていたそうな。

 村人たちはたいそう驚き、
「こりゃたいへんだ、地蔵さまが居なくなってしまったぞん。放っといたらバチが当たるずらーよ。みんなで地蔵さまを探さまいか。」村人たちは夢中になって荒れはてた畑の中を、地蔵探しをしたそうな。すると、あっちの畑の中に頭のてっぺんをちょこんと出し、胴体の部分は全部土の中に埋まってしまっている地蔵の一体を見つけだした。みんなは「お地蔵さまが見つかった。」と喜び、嬉しそうに掘り出したそうな。 lass "mikawa_no_kai__waku" の内容がここに入ります
                           次へ
inserted by FC2 system